【認知症の薬粒治療】既存治療薬と新薬アデュカヌマブの作用機序と抱える問題点

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認知症のイラスト医療系

こんにちは、だいだい(@daidai_cash)です

2021年6月7日アメリカFDA(食品医薬品局)がエーザイとバイオジェンの共同開発したアルツハイマー治療薬「アデュカヌマブ」を承認しました

約20年ぶりの新規作用機序の薬剤が承認されたという事で世界的なニュースとなっています

発売元のエーザイの株価もストップ高をつけるほど、世間や市場からの熱い視線を受けるニュースとなりまし

エーザイが6月9日にストップ高で値がつかなかった

うーん、新しい作用機序の薬が出たけど、今までの薬と何が違うんだろう?

普段認知症患者がほとんど来ないから、まず認知症の薬の種類や使い分けすらわからん

迅速承認とか出てたけど、本当に問題ないのかしら?

かなり画期的な新薬が出たという事で様々な思いを抱いている方が多いと思います

そこでこの記事では以下の構成で伝えていきます

①アルツハイマー型認知症の基礎知識
②現在行われているの薬物治療の治療薬とその種類
③新薬アデュカヌマブの作用機序と問題点

この記事を読む事で再度今までの薬物治療について振り返る事が出来、新たな新薬の知見を得る事が出来ます

新たな治療ステージに突入するかもしれない認知症治療の最前線を確認していきましょう

この記事を書いただいだい(@daidai_cash)でどんな人と思った方はこちらを参考に→だいだいの自己紹介

認知症について

まずは基本的な所から解説していきます
それは認知症とアルツハイマーとの関係性について

認知症…様々な原因により認知機能に障害が生じ、社会生活に支障をきたしている状態

原因により、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管症型認知症などに分かれる

日本における認知症では約6割以上をアルツハイマー型が占めており(2018年データ)認知症といえば一般的にはこれが原因である事が多い

アルツハイマー型認知症…脳にアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まり(老人斑)、神経原繊維の変化が見られ、脳の中でも特に記憶を司る「海馬」の萎縮が見られるもの

症状にもの忘れ、徘徊、道に迷うなどの症状が見られる

つまりどういう違いがあるの?

認知症は患者さんの状態を表す用語で、アルツハイマーは疾患名という感じですね

認知機能に障害により、社会生活に支障をきたしていたら、全部認知症と呼ばれる状態だと思ってもらうのがいいかと

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アルツハイマーの原因

原因はまだ詳細には分かっていません

ただ病理学的な特徴として老人斑の出現があります
これが何かといえばβ-アミロイドタンパク質やタウタンパク質が脳内で集まって出来たものです

この老人斑が伝達神経に影響を及ぼし、記憶障害や意識の低下につながると言われています(βアミロイド仮説

ちなみに今回のアデュカヌマブはこのβアミロイドタンパクの集積を抑制する効果があるとされ、認知症の根本治療薬と言われる所以ですね

今はこのβアミロイド仮説が有力とされてはいますが、確定はしているわけではありません

なぜβアミロイドタンパクが集積するのか?
どのような作用機序で神経に影響を及ぼしているのか?

まだまだ未知の病であることは間違いありません

現在の治アルツハイマー治療薬

まずは既存の治療薬について振り返っていきましょう

アルツハイマー型認知症に適応のある治療薬は現時点では4種類です(2021年6月18日現在)

アリセプト®(ドネペジル)
レミニール®(ガランタミン)
リバスタッチパッチ®イクセロンパッチ®(リバスチグミン)
メマリー®(ガランタミン)

アリセプト®、レミニール®、リバスタッチ®はコリンセステラーゼ阻害薬

メマリーはNMDA受容体刺激薬に分類されます

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬

シナプス間隙での神経伝達物質であるアセチルコリンの低下が認知症患者では見られる為、シナプス間隙内でのアセチルコリンの量を増やせばよいという結論になります(コリン仮説)

作用機序に関するイラストはこちら↓

引用:http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/110602html/index2.html

シナプス間隙でアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼを阻害する事で、シナプス間隙内でのアセチルコリン量を増加させ、神経伝達の効率を上げる効果です

メインの効果は3剤とも特に変わりはなく、アセチルコリンエステラーゼ阻害がメイン
それに加えてニコチン受容体への刺激があるか?
ブチルコリンエステラーゼ阻害もあるのか?

これにより3つに別れています
ただし薬効が同じ為、通常併用して使う事はありません

ただリバスチグミン®は外用のパップ剤となっています
その為、認知症の治療に対してアドヒアランスの悪い患者にも、介護者が貼る事で治療に前向きに取り組む事が出来るというメリットがあります

もちろんハップ剤のため、皮膚への刺激が問題となり、毎回貼付部位を変える必要があります
説明用資材では胸、肩、背中の3種類をローテーションで貼っていくのを勧められています

アリセプト®とレミニール®についてはアリセプトは分1、レミニールは分2
抑うつ型傾向のある方にはドネペジル
興奮傾向のある方にはレミニール
と使い分けられる事があるようです

もちろんこれだけでなく、他に服用されている薬剤や本人の状況(服用状況や周りの支援等)にもよってくるかと思います

代表的なものとしては消化器系の副作用が多く、それを抑えるため、少量から開始
副作用状況を判断しながら維持量まで増加させるという使い方をするのも特徴です

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NMDA受容体拮抗薬

アルツハイマー患者においてはグルタミン酸の過剰放出が原因で神経が損傷され(グルタミン酸神経仮説)症状を発症するという考え方があります。
それを改善するための薬剤がメマリー®です

作用機序に関するイラストはこちら↓

引用:http://midori-satohp.or.jp/article/45.html
引用:http://midori-satohp.or.jp/article/45.html

通常はNMDA受容体にはマグネシウムイオンがくっついており、記憶をするときにグルタミン酸がNMDA受容体にくっつき、カルシウムイオンが流入して記憶が形成されます(グルタミン酸仮説)

しかしアルツハイマー型認知症患者ではこのグルタミン酸の遊離が多く、常にNMDA受容体を刺激し続けている状態です

刺激され続けて、何か問題があるんですか?

人でも同じなのですが、刺激に慣れ続けると本来刺激がきた時に起こる反応が鈍くなってしまいます

記憶したい時に適切なグルタミンが放出され、受容体に刺激が起こればいいのですが、慣れすぎていてその刺激に反応できません

その為記憶を使用しても記憶をする事が出来なくなってしまいます

これをメマリー®が受容体を保護して適切な刺激のみを受ける形に変える事で効果を発揮します

上記の通りメマリー®は他の3剤と作用点、作用機序が全然違います。
そのため他の3つの薬剤と併用して使用する事が出来ます

また併用により攻撃性や不安定性さを著名に改善させたという報告もあります

これはグルタミンが元々興奮性の神経伝達物質の為、それが抑制される為と思われます

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他の治療薬

上記でお伝えした通り、アルツハイマー自体に適応を持つ薬剤は4つです
それ以外にもアルツハイマー型認知症の周辺症状(BPSD)を抑える為の薬剤もあります

まず基本としては非薬物療法により原因を取り除く事や症状を改善させる事を行いますが、それで改善が見られない際に薬物療法となります
基本の考え方としては対症療法になるので、現れている症状に対して追加で処方される形になります

代表的な薬剤を下記にピックアップ

抑肝散(54)…攻撃的な言動や行動が見られる方に良く出る、沈静効果が期待され、催眠作用を期待して就寝前投与されることも見かける
3包あたり1.5gと量は少ないがカンゾウが含まれているので、偽アルドステロン症には注意

ベルソムラ®ロゼレム®…不眠症状に処方。BZ系(ベンゾジアゼピン系)は元々認知症のリスク因子の1つにも挙げられ、こちらが使われることも多い

ベルソムラは強力なCYP3A4阻害薬との併用が禁忌なので要注意。代表的なものにクラリス®
どこの診療科でも処方される可能性があるので、ベルソムラ服用中の方は必ずお薬手帳を持ち歩くように指導しておいた方が良い

ロゼレムは下記で出てくるルボックス、デプロメールとの併用禁忌なので要注意

リスパダール®…興奮状態の鎮静効果を期待。眠剤的な使われ方をすることもあり
D2遮断効果があるため、錐体外路障害の遅発性ジスキネジアやアカシジアの副作用には注意が必要

セロクエル®(クエチアピン)…不安症状の改善に対して投与される。禁忌として高血糖の副作用があり、糖尿病治療中の方は特に要注意
また悪性症候群の副作用も報告されているので、服用中の急激な頻脈や発熱症状には注意

・SSRI(ルボックス®デプロメール®)…認知症に伴う気力低下などの症状に対して処方される。副作用としてセロトニンの過剰によるセロトニン症候群に注意が必要

セロトニン症候群:錯乱、発熱、ミオクロヌス、振戦、協調異常、発汗などの症状が出る可能性もあり

新薬アデュカヌマブについて

アルツハイマーの病態や既存の薬物治療や上記の通りでした

この次はいよいよ新薬アデュカヌマブについてです
構成としては下記の2つについて述べていきます

①アデュカヌマブの作用機序
②アデュカヌマブの問題点

アデュカヌマブの作用機序

・アデュカヌマブはモノクロール抗体の1種
βアミロイドタンパクを用量依存的に減少させる事でアルツハイマー型認知症の症状の改善に効果を発揮する

アルツハイマー所見であった老人斑を減少させ、神経障害をなくす事で効果を発揮するとのことです

やってることは結構単純なんですね

ただしこの効果は著名なようで臨床の第Ⅲ層試験では70%近い減少がみられたとの事です

https://www.eisai.co.jp/news/2021/news202141.html

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アデュカヌマブの問題点

これは大きく2つあります

①薬価が高く、どれだけの人が続けられるのか?
②本当に効果があるのか?

薬価が高い

①の値段についてですが、まだ日本で承認されていないので、推定されるものという前提で話を進めていきます

アメリカFDA(食品医薬品局)が承認した際に年間5万6000ドル(日本円で約610万円)ほどの社会的な負担が生じるとの見解を示しています(ブルームバーグより)

エーザイのCEOも

画期的な新薬だし、高くても仕方ない
認知症を介護したりする人の報酬等を考えれば、その分がなくなるしその辺りも考慮してね

つまりこの薬によって介護の負担が減るし、その分お金も浮くよ♪
それだけの価値をもたらすだから値段高くてもいいじゃないか?って事です

日本で投与が見込まれる対象者は約100万人ほど
そうすると610万✖️100万人=6兆1000億円!

これは流石に負担が大きすぎるので、もうちょっと値段は下がりそう

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効果の対する信頼性

次に②の本当に効果があるのか?という事についてです

うん、本当に効果があるかってどういう事?効果があるから承認されたんじゃないの?

もちろん審査をして、その結果が出たので承認はされています
しかし手放しで喜んで承認というわけではないというのも重要です

このアデュカヌマブは認知症の治療薬として、社会的な意義の大きい薬剤として特例的に承認を得ています
なので今回のFDA(食品医薬品局)の迅速承認で承認はされたが、引き続きの臨床試験は行うように言われています

実際FDA(食品医薬品局)も承認の際に3名の委員が反対し、辞退するという状況に

これで承認するのはけしからん!より十分な臨床試験して、その有効性がわかった上で承認するべきだ!

実際に臨床試験の成績も抜群の結果を出して、意気揚々と申請したわけではありません
いくつかの失敗(効果があったと統計的に言えなかった)だった試験もあります

元々βアミロイド仮説が出てきたのち、多くの製薬メーカーが、これをなんとか治療薬に出来ないか?と必死で取り組んできましたが、効果のある医薬品として出せなかった領域の薬剤

今後の動向に非常に注目しておく必要があります

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まとめ

アルツハイマー型認知症についてまとめてきました

高齢化が進み、アルツハイマー型認知症患者は間違いなく増えてきます

アルツハイマー型認知症の場合、体は結構自由に動く方も多いので、介護がかなり大変です
本人も悪気があって、徘徊や暴言を吐いているわけではありません

しかし周りの介護する方はどうしても精神的に大変な日々を過ごす形になります

家で介護していて、目を離した隙に徘徊で出て行って、新幹線に跳ねられた事件もありました💦介護者が目を離したからと損害賠償請求になったりと非常に介護者にも負担がかかっています

そんな中で治療薬という1つの光明が刺した事は素直に喜ぶべき事だと思います

ただし薬の専門家としては手放しで喜ぶだけでなく
・効果の程度はどの程度見込めるのか?
・副作用はどの程度発生するのか?
・費用対効果はどのなのか?

様々な角度からこのニュースを見ていく事が必要になると思います

日々勉強して、色々なニュースや発表を見て知識を蓄えておく事が患者や周りの医療者にも信頼される結果につながると思います

今回は認知症についてまとめましたが、2021年にガイドラインの変更になった心不全治療についてもまとめています
治療薬について大きな変更があったので、一読し、最新の知見をえておく事が必要です

また薬剤師として治療薬を網羅的に知るために、1冊は手元にこちらの書籍を持っておきましょう
いざという時にないと困ります

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